December 2020

December 24, 2020

8年目のクリスマス・イブ

科学を信頼しないわけではなく信頼するがゆえに怖くて病院へ行くことが嫌い。そのため強烈な痛みを随分我慢していたのが8年前の私だった。
強烈と言っても程度の具合は個々人の感覚によるのでなかなか伝わりにくいものだ。当時私が例えに使ったのは棘々のウニで、『そのウニを何十個も腹の中に抱えている』ような痛みだと言っていたのs-2020-11-18_150648だった。
実際ほんの少し、呼吸する程度に体が動くだけで痛みが頭の先までキーンと突き刺すほどに烈しいものだった。それで、とうとう我慢出来ずに一般病院、公立大学病院と診察を受けたのだった。診察を受けるたびに超音波、CT検査など様々な検査を受けたが身体を横たえるだけでも地獄にいるような苦しみを味わったのだった。
それだけしても病原因は不明。とうとう足の先からシビレが広がり始めて立つことも出来なくなり夜明けを迎えたのだった。その後仕方なく、心のs-2020-11-18_150440中では呼びたくなかった救急車の世話になり私立大学病院の救急室へ運んでもらったのだ。
ここで看護師の問診を受けている途中で気絶。その後、MRIなどいろんな検査の後に手術を受けたらしいがこの間私には全く記憶が無く、意識が戻ったのは日付が変わってからだった。
その後 ICU のベッドで過ごしたのだが、3日ほどして看護師が私のベッドを窓際に移動してくれたのだった。そこで私が寂しかろうと看護師がポータブルラジオを置いてくれたのだった。小さな小さな音が聞こえるだけだったけれど、この配慮は嬉しかった。しかし日暮れて流れてくる曲は山下達郎の『クリスマス・イブ』。時期的にはピッタリの曲なのだが ♪ silent night, holy night きっと君は来ない ひとりきりのクリスマス・イブ ♪ と、何とも寂しい気持ちになったものだった。
当時の自分の気分から、この歌の題を『ひとりぼっちのクリスマス』だと思い込んでいたのが、ちょうs-2020-10-30_090102ど8年前の昨日と今日のことだった。
ももいろ短い
この8年の間、家内を一番に沢山たくさんの人たちの助けを頂いてきた。幾ら感謝しても感謝しきれない。このことは私自身が全てを、そして最もよく知っていることだ。
あの時以来8年目になる今、随分といろんなことがあったなあと思い返している。
むらさき短い
※家内の友人Sさんのご主人が作ったキャベツと人参の葉っぱ。私は大根も人参も野菜は葉っぱまで残さず食べるのだ。
カール・フィリップ・エマニエル・バッハは音楽の父と評されるヨハン・セバスティアン・バッハが最初に結婚したマリア・バルバラとの間に出来た子(次男)である。


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汚い世界

安倍前首相が国会で何度もウソの答弁を繰り返していたことがハッキリした。
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安倍首相(当時)の後援会が桜を見る会の前日に開いた夕食会の費用の一部を負担していた問題だ。
2013年以降、ホテル・ニューオオタニ、ANAインターコンチネンタルを使って開催していた夕食会の出席者の費用を後援会が負担していたにも関わらず、後援会の収支報告書にも記載していなかったのだ。
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今日のニュースで、弁護士らの告発を受けて捜査していた東京地検特捜部は安倍氏の後援会代表で安倍氏の公設第一秘書・配川博之氏を略式起訴、安倍前首相を不起訴としたと報じていた。
むらさき短い
起訴し公判を維持出来るだけの証拠を見いだせなかった、安倍前首相と配川公設第一秘書との間で口裏s-2020-11-05_092711合わせをしたとの確認は取れなかったと東京地検特捜部は言うだろうと、これは告発があった時点で私は予想していた。
ホテル側の領収書があったこと。後援会の収支報告書に記載しなかったこと。これらが公になってしまった以上は何もなかったでは済まないだろう。そう考えた東京地検特捜部と安倍前首相側双方の一致した落としどころが、安倍前首相は不起訴、配川公設第一秘書を略式起訴となったように私には見える。
みどり短い
武士社会ならば主人に代わって腹を切る。任侠のヤクザ社会なら親分の身代わりに子分が刑務所に入る。この図式で言えば議員に代わって秘書が罪をかぶるということになるだろ2020-11-05_080318うか。

上に例を挙げたように議員と公設第一秘書の関係は単に雇用と被雇用の関係以上のものなのだ。
国会議員は、政策・第一・第二と3人の秘書を持つことが出来、その秘書たちの給与は国が支払い、身分としては国家公務員特別職となる。そんな彼ら3人を雇うのは国会議員であり、当然のこと秘書たちは雇い主である国会議員のために忠誠を尽くすものだ。
だいだい短い
今回東京地検特捜部は不正の口裏合わせについて確証を得られなかったという。それは当然だろう。議s-2020-11-12_084442員にとって秘書とは『爺や・婆や』であり、秘書にとって議員は『ぼん・ぼっちゃま』なのだ。
東京地検特捜部はロッキード事件以後は完全に吠えない権力の飼い犬に成り下がったように見える。
うすむらさき短い
安倍前首相は今夕会見するらしい。多分彼は口先では『真摯に反省』と言い、腹の中では勝利宣言だとほくそ笑む姿が私には見える。


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December 11, 2020

干し柿

11月6日、7日と渋柿の皮を剥いて干したのだった。
6日は大きい種無しの大和柿(西吉野村産)。5日は小ぶりの品種不明の柿(奈良市産)。
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約1ヶ月間の天日干しの結果、上のような干し柿が出来上がった。
干す前の柿と出来上がった柿とを比べると確実に3~4割は嵩が縮まっている。
出来上がり具合を確かめるためにそれぞれを切り分けて食べてみた。
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上は大きい大和柿。皮はしっかり干され、中身は熟し柿状態。
食感はゼリーのようで糖度も高く、私は美味しいと思う。
下は小さいほうの柿。
皮と実が一体化したような噛み心地で甘味は強い。
種が4~6個ばかりあるので食べるのに面倒ではあるが美味しい。
私の好みは、どちらかと言えば大和柿。家内は柔らかいのよりも硬いほうが好み。
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皮を剥いて吊るす作業が結構大変なので今年の作量は昨年の半分以下。
勤労感謝と言えるほどのことではないが、今年も柿を干すことが出来、美味しい干し柿が出来たことは嬉しく感謝すべきことと思う。この上、何人かの人たちに味わってもらえるなら尚一層嬉しく喜ばしいことと思う。


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烏魚子(からすみ)

ほぼ20日かけて造った烏魚子(からすみ)だが、点数で評価するなら82点くらいだろうか。
s-2020-12-09_193824一応『優』ではあるが、私が手本としてきた台湾産のモノに比べるともう少しといったところで、評定のための項目としては塩加減、油脂分、卵の詰まり具合、まろやかさ、しっとり感、柔らかさ加減、香り、色合い等を挙げることが出来る。
上の写真は鮨一での先付。左からホタルイカ、烏魚子(からすみ)と大根、真鱈白子。
烏魚子は出来たてほやほやのを食べさせてもらった。
空色短い
好みの傾向をグループ分けすることは可能だが、好みは個人によって異なるもので、100人おれば100種の好みがあるものだ。よって私の好みが全てを代表するものでないs-2020-12-10_211005ことも、私が手本としてきた台湾産の烏魚子が台湾産の烏魚子を代表するものでないことも明白なことだ。
青色短い
以前イタリアやオーストラリアで食べたボッタルガ(bottarga)、長崎で買った唐墨や台湾産の烏魚子を食べた結果、私がもっとも美味しいと思ったものが台湾製のものだったのだ。
今回造った烏魚子も台湾産のモノを雛型にしたのだ。
12月10日付の左上の写真が自作の『からすみ』だ。
紺色短い
入手した時の生の卵巣は大きくてズッシリ重いものだったが、塩漬け、塩抜き、天日乾燥と作業を続けていくうちに随分と縮まってしまった。
正確に軽量したわけではないが、見かけ上では4分の3か
3分の2くらいに縮小したように思う。
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比較のために3つの工程に分けて撮った写真が上のもの。容器のバットを基準にしている。



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December 09, 2020

卵・玉子の記憶から《4》

先に書いたように、おかずとして食べてきた『鯛の子』『たらこ』以外に酒肴としての魚卵は高価であったのでチョクチョク食べることは無かった。だから魚卵を用いた高級珍味について、どのようなものがあるのかについてもよく知らなかった。
『鱈の子』を唐辛子など調味料と共に浸けた辛子明太子も今ではフツウに食べているが、これも初めて食s-2020-12-08_114300べたのは1970年代の後半でなかったかと思う。
当時四兄が宮崎県に単身赴任しており、博多『ふくや』の明太子を九州の土産だと頂いた時のことだった。大きい立派な『たらこ』で、こんなに美味いものがあるのだと感じさせてもらったのだった。
青色短い
『かずのこ』についてはお節の重箱に入っていたので食べたという経験は早かった。しかしお正月以外に食べたのは料理の先付の一品として出された時か、握り寿司のネタとして注文した時だった。
『かずのこ』は鰊の卵巣だが同じ鰊の卵でも昆布にくっ付いているのはs-2020-12-08_155602『子持ち昆布』として売られており、『かずのこ』同様おかずとしてよりも食感・味わい共に酒の肴として美味であると私は思っている。
ももいろ短い
メスの鰊の腹に抱えられているのは『かずのこ』で、それが昆布に産み付けられると『子持ち昆布』となるのだ。
随分以前だが、4月から5月の頃にカナダのバンクーバー北方海岸一帯の海が真っ白になるとテレビが放送していた。この時期に大量の鰊が押し寄せて昆布の森で一斉に産卵活動をするため海の色まで変わるのだと。
紺色短い
『子持ち昆布』を味わった最初は長兄の家で新年を祝った時だからs-2020-11-15_10543640数年前になろうか。『かずのこ』も『子持ち昆布』も沢山頂いたのだった。勿論お酒も。
それに加えて忘れられないものに『烏魚子(からすみ)』があった。
『からすみ』はボラの卵巣を塩漬けにした後に天日乾燥したもので、初めて味わった折に何と美味いものかと感動したものだった。将に珍味中の珍味だと思ったのだ。
友人の台湾人が毎年末に送ってくれるのだと長兄が話していた『烏魚子』s-2020-11-15_161121は、化粧箱に入れられた飴色の大きいひと腹(卵巣ふたつ)分であった。これ以後毎年長兄宅へ正月の挨拶に行った帰りに『烏魚子』をひとつ(卵巣ひとつ分)頂いてきたのだが・・・
あかいろ短い
『烏魚子』については残念なことがひとつあった。
家内と台湾・香港・マカオを旅した時のことだ。台湾南部の高雄から香港へ向かう折、土産物店より随s-2020-11-23_145644分安く買うことが出来るので市内の市場で10腹分の『烏魚子』を買ってから飛行場へ行ったのだ。そして香港のホテルレセプションで私がチェックインを行っていた時、家内の旅券が必要だったのでソファに座っていた家内にカウンターまで持ってきてもらったのだ。その距離は5~6m。部屋の鍵を受け取り、家内も私もラッゲージを転がしてエレベーターで部屋へ移動し、荷物の整理を始めたのだ。その時、家内が持っていた『烏魚子』入りの紙袋が無いことに気付いたのだ。チェックインの際にソファに置いたままだったことを家内s-2020-11-23_150153が思い出したので急いでレセプションに戻ったが見当たらなかった。レセブショニストに忘れ物が届けられていないか訊ねたが無いと。
『安物買いの銭失い』という古諺があるが、『安モノ買いのモノ失い』になってしまったのだった。
うすむらさき短い
当ページの写真は私の『からすみ』造りの今年の記録。
私が『からすみ』造りを始めたのは9年前だった(ような)。寿司屋の大将I氏が市場でボラの卵巣を買うと話してくれたので私のも一緒にと頼んだことが始まりだった。
s-2020-11-23_150759初回は聞き知った大まかな工程を頭に描きながら、塩の量は目分量で、塩漬け期間も塩抜き期間もテキトーであった。天日干しも色合いや手触りなど自分の勘頼りであった。ところが『案ずるより産むが易し』の古諺通り、手本として思い描いた台湾製の『烏魚子』に近いものが出来たのだった。実際食べてもらった誰からも高評価を得て、これに気を良くして毎年造ってきたのだ。ただ昨年は原材料価格が高いとのことで造らなかった。そのため今年は何だか久し振りで初めて造った時のような戸惑いの連続であった。何と言っても年に一度だけの作業なのだから久し振り感は当然のことだ。
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11月14日に卵巣の血抜き作業を始めたのでほぼ20日目の状態が上の写真。いい色合いに仕上がってきていた。
12月7日に天日干しを終えて、一つずつビニル袋に入れて冷凍保存にしたが既に予約受付は終了した。喜んでくれればそれで良い。


masatukamoto at 10:30|PermalinkComments(0)
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