October 16, 2005

信州への旅  第二

安 曇 野

 あ ず み の 


安曇野の道ばたには、御影石に削り込まれた可愛い道祖神があった。

その表情や仕草は似てはいても同じものは無かった。

以前この地を訪れた時、緑の稲穂の畦道に、ひっそりと二人たたずむ道の神に愛らしさを感じたものだった。

道祖神は一般的には『道路の神様』であり、道路の悪霊を払い旅人らの安全を守る神であるが、案内書では『縁結びの』『五穀豊穣』『子孫繁栄の神』『夫婦和合』などの神であるとも書かれている。
道祖神信仰について、宗教学的研究報告は沢山あるので、ここでは省くことにする。

北アルプスから流れ来る幾筋かの川が合流し、安曇野で犀川となるが、扇状地であるため雪解け水の湧水は清らかな流れを作り出している。

アルプスを眺め、松本盆地の北に広がり、穂高温泉郷を抱えるのどかな高原田園地帯が安曇野である。

以前に比べれば道路が広がり建物が増えたものの、牧歌的風情を多分に残しており、素晴らしい土地柄であることに変わりはない。


変わってきたと感じたものは美術館に博物館、ガラス工房など、アート・ワークショップが増えたことだろうか。

この安曇野一帯で芸術に関係する施設の数は相当なもの。

全て見てまわるには、2日は費やさねばならないのではないかと思えた。

私が頻繁に旅行をしていた学生時代に『安曇野』という地名はなかった。

一体いつの頃から安曇野と呼ばれ始めたのか不明であるが、どうやら臼井吉見氏が書かれた作品、『安曇野が世に出てからのことらしい

穂高や豊科という地名も歴史と伝統を持つ名前ではあるが、そうした地域を含む一帯を称して呼ぶ安曇野という地名には何かロマンを感じさせる響きがあるように思う。

それが2005年10月1日、町村合併で『安曇野市』と市の名前に冠せられたのだが、行政区分の市名となると、私のロマンの感覚とは若干ズレるものを感じた次第である。



at 04:48│
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