May 13, 2007

東京行 続き 5 (食)

東京で食事というのは常に期待はしていない。

関西の人間が東京で食事をすると、「辛い」「マズイ」「高い」という回答が多い。

私も以前は同様に感じていた。

付き合いで仕方なく銀座で飲食をすることもあったが、大概馬鹿らしい思いをしていた。 だから食事をする場合、できるだけ大学内の食堂で済ませるように努めてきた。 何と言っても安いからである。

しかし、ここ10年ばかり以前より私の東京における“食”の評価は変わってきているのである。 だが、期待するというほどのものではない。

ひとつには、いろんな場所でいろんな種類の料理を食べ始めたことにもよるのだが、これは私の懐具合とも比例している。  だからといって、以前は特定の偏った店にばかり行っていたわけでもない。

今春、2度にわたって家内と東京に滞在する機会を得たが、その折に食事をした店と料理について感じたことを若干書いてみたい。

先ず、東京も飲食店が増えてきたために選ぶ対象が広がり良い店を見つけやすくなった。

良い店について私のこのブログでも何軒か紹介してきたが、私の基準は相当に厳しい。

一見で一度訪れただけの店については参考的評価に留まる。

やはり2度3度と訪れる中で、その店の評価は決まる。

先ず一見で一度行っただけの店なら、食べる物の種類が限定されるために評価が偏ることがある。

それに、料理素材、調理法、盛り付けの工夫、料理提供の際の心配り、価格、使用している什器類、店の外装や内装、そして、主人、女将、調理人、お運びさん(ウェイター・ウェイトレス)らの応接の態度など、それら全てを総合的に評価するので、一見で一度行っただけの店についての評価は実際的に困難であって参考的評価に留めざるを得ないのである。

それらを踏まえて、先ず良い店と思われる店を紹介しよう。

先ず、赤坂の寿司屋、鮨勘赤坂店

山王下交差点からTBSに向って坂道を上ってくると信号右角のビルの半地下の店舗。

新赤坂ビルという建物らしいが、ほんの数段階段を下りた所に入口があり、店内に入ると右手に長ーいカウンターがあり、そのカウンターの背面に4人掛けのテーブル席が5つだったかある。


食材品数価格調理法従業員の応対店の雰囲気明るく清潔と、これだけ揃えば80点の“”である。

この店は、前回と今回合わせて3度行った。

『にぎり』については1貫から注文できるのが良いし、何よりマグロの質が良い。

そして、私の評価を上げさせた要因の一つに三陸の“ホヤ”がメニューに入っていたことである。

要因と書いたが、正しくは遠因と書くべきであろう。

そうでなければ“ホヤ”を入荷・調理するというだけで高い評価をしなければならないし、それは適正・厳正な評価をしたとは言えない。

ただ、3月や4月という春の初めに養殖とはいえ生の“ホヤ”を食べることができたことは幸せなことであった。

大阪でも夏になれば鶴橋の市場で生の“ホヤ”が売られることがあるが、韓国・済州島の方で採られたもので随分小振りの上、肉質、味ともに三陸産とは比べ物にならない物なのである。

それに、この店では中国の女性を雇っているのだが、彼女たちの労賃が安いかどうかという人件費における経営上の問題ではなく、外国人に対して就労の機会を与えているという雇用に対する姿勢についても評価したい。


at 15:29│
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