May 09, 2009

『母の日』に寄せて

5月の第2日曜日は『母の日』。

昨年の『母の日』の前後は韓国を旅していた。

この時期、日本の花屋のショーケースには赤白のほかピンクや色の混じったカーネーションの花や小さな鉢植えの矮性のカーネーションなどが所狭しと並べられる。

韓国でも同様であるが、大邱の町で見かけた光景では『母の日』にカーネーションの花を贈る風習が日本よりも活発に行われているように感じられた。

昨年、慶州では子どもたちが母親に連れられてカーネーションの花を祖父母にプレゼントするためにやってきた場に居合わせた。

この祖父母のお爺さんは日本名を『小山 英』と名乗る『許 東洙』氏であり、広島の国民学校3年に在学していた折に原爆を体験されたということについて昨年の5月か6月に書き、彼らの写真を掲載したことがあった。

『母の日』はアメリカにおける南北戦争を契機に夫や子どもたちを戦地に送らないという考えが基本となって発展してきたと書いたことがあり、私は長年それが正しいと思い込んでいたが、17世紀のイギリスにおける「Mothering Sunday」が起源となっていることをインターネット『Wikipedia』で知った。

カーネーションの花を贈るかどうかは別にして、母を想い母に感謝する気持ちを持つというのは世界に共通したものである(と思う)。

韓国も日本も儒教による倫理観が民族の精神基盤形成の過程で大きく影響し、敬神崇祖忠孝という民族独特な考え方や身の処し方に根強いものが受け継がれてきている。

敬神崇祖忠孝というのは字の通り、神様や先祖を敬い大切にし、国や目上の者、そして両親に真心を尽くすというものである。

日本の場合、この儒教精神と武士道が人々の精神的支柱として承継されてきたことは疑う余地のないところである。

忠孝の忠は忠義、孝は孝行を指す。

しかし、明治期より近代化の道を歩んできた日本において、本来個人としての考え方や身の処し方を表現した忠孝という言葉が時の政府の歪な国家観や国策に結び付け利用されて馬鹿げた戦争に誘導されるということになってしまった。

忠は天皇や国家に忠誠をと、孝は臣民、つまり天皇の赤子たる国民は全て天皇に孝行せよというように利用されたのである。

そのため戦後は忠孝の忠義について否定的見解が多く、愛国心や愛国教育についても常に疑念を抱かれるし私も現状では愛国心発揚や愛国教育推進には反対である。

現行の日本国憲法は世界人民の平和な暮らしを求める理想を掲げており、世界憲法とも言うべき他国に例を見ない素晴らしい憲法である。 これに記述された文言や精神を世界に広げるための愛国心や愛国教育についてならば積極的に論議に加わりたいと思うが、自民党や民主党の一部がギャアギャアほざくような改正論議に乗るつもりは更々ない。

話が横道にそれそうだが、どこの世界に戦争を支持し子どもを戦地に送りたがる親がいるだろうか。

もっとも、最近のテレビや新聞報道では子どもを折檻した挙句に殺してしまうということをしばしば耳にする。

全くふざけた奴らであり、こうした連中には死刑判決を下しても良いとさえ思うほどに腹立たしい。

子どもを産み育てる責任と義務についてワカラン奴がいるということが情けない。 義務と責任なんてのは法律上のことであって、言わば人間として最低限の約束事なのである。

子どもを産み育てるには義務や責任という以前に、人間・命というものに対する敬虔や尊厳といった念が必要であり、もっと分かりやすく言えば生きるものを愛するという心が必要なのである。 

これは人間の根幹となるものであり、愛国心なんてものは枝葉に垂れる雫程度のものである。

『母の日』

「孝行のしたい時分に親はなし」という俳句があるが、私ども夫婦は双方既に両親は他界しており孝行の対象はない。
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親孝行の真似事のようだが高齢の長兄夫婦の家を訪ね、カーネーションの花を持参して会食を楽しんだ。

父親が病に臥せて生活が安定しなかった実家に於いて、母親に姉と家内は長兄、次兄、三兄の経済的援助を受けて育ったと聞く。

とりわけ歳差のある長兄と次兄は父親のような存在であると家内は言う。

そのように思い語り行動できる家内には人間的温か味を感じ心落ち着くものを感じる。

今や孫のできるような齢となった家内も『母の日』を前にY君とHさん夫婦の訪問を受け、これからの夏の強い紫外線を防ぐための腕まで覆う手袋をプレゼントされていた。

我が家の孫は未だいないが、ジイジイ、バアバアと言って来てくれる孫は既に14人。 Y君とHさんの子も今度の正月には呼んでくれるかな? 

有難いことである。

愛と感謝は表裏の関係にあると言える。

両親は勿論、子ども達にとっても、そして世界中の人々が愛に満ちた平和な世界を実現するためにも『母の日』がその一歩になればと思い願う。


at 18:07│
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