June 30, 2009

北欧の旅 (18) リレハンメル~ゲイランゲル 

リレハンメルからE6(欧州自動車道)でオッタへ。

オッタからA15道路でロム(Lom)へ出る

未だ新緑と呼べる木々の葉が茂る山間路であったり流れの速い川に沿った道であったり、道路に沿った斜面ではヤギやヒツジ、それに牛などが草を食んでいるといった具合にノルウェーの道路は自然豊かである。 

道路が起伏に富んでいるのは比較的地表の浅い部分まで岩盤が出ているためであろうか。

オスロからは既に相当な距離を走行し、ロムで暫く休憩を取った。
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ノルウェーにはスターヴ教会(Stav Kirke=Stave Church)が多く保存されている。

上はロムのスターヴ教会であるが、1100年後期の建造で、1600年代に十字型に増築され、内陣の装飾は1608年、内陣の木彫り囲いが1702年に造られたものだという。(内陣の写真は無い)

ノルウェイ語のスターヴStavは英語のStaveにあたる言葉なので日本語で言えば板とか棒などの意味があるので木造の教会と解して良いだろう。

ノルウェーにキリスト教が伝えられたのが1000年頃のことであるとされ、その後キリスト教が急速に広まり、伝道100年後には少なくとも750の教会が建造されたとされている。

現在28のスターヴ教会が保存されているが、外見上はキリスト教会ながら、下の写真に見られるように切妻部分に獣態装飾が施されているなどキリスト教会とは異質な装飾が施されていることから、古代ノルド人、バイキング時代の人々の信仰と後世になって伝えられたキリスト教が融合した結果ではないかという指摘がある。
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木造教会の原材料が木材であり、バイキング時代の船の建造に関わる優れた木造技術が教会の建築構造や技術に生かされ、中世の北欧各地にあった木造教会がノルウェー以外ひとつとして残されていないことからも、彼らの木造技術が秀でていたことが理解できる。

写真でも分かるように、スターヴ教会は支柱となる柱、梁、壁、床から瓦に至るまで全て木材で出来ているのである。

このロムの町からの道も山間を流れる清流に沿っている。

もともと道路の歴史を辿れば人々が歩き固めたものか獣たちが通った道であり、それらは当然のこと、出来る限り平坦で歩行移動が容易いルートが選ばれたはずである。 木材を伐り出し運搬する杣(道)にしてもルートは同じように選ばれたことだろう。

その道路、乗用車も走るがキャンピングカーがノロノロ走行するのが目立つ。 天気の良いうちに私は先を急ぎたいのだが・・・

ノルウェーでの宗教祭日、つまりキリスト教の祝祭日である復活祭、聖霊降臨日、クリスマス、この3つが大きいものである。

復活祭はイースター(Easter)とも呼ばれてイエス・キリストの復活を記念して春分の後の満月直後の日曜日に行われ、この日をイースター・サンデーとも言う。 4月12日が日曜だったので、『最後の晩餐』は4月10日であったということに。

十字架に架けられて死んだキリストは3日後に復活、30日間人々に姿をみせて復活の証(あかし)を示した後に天に昇ったとされる日が復活祭後40日目の木曜日であり、この日を昇天の日(Ascension Day)と言い、5月21日がその日であった。

聖霊降臨日は磔刑に処せられたキリストに聖霊が降りてきた日で、これは復活祭の50日後で5月31日。この日はウイット・サンデーと呼ばれ、翌日はウイット・マンデーで祝日となる。 つまり週末から月曜日にかけて3~4連休となっており多くの人たちが出掛けるのと重なっていたのである。
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ともあれノロノロ運転のキャンピング・カーの後塵を拝しつつも徐々に道路の高度が上がっていった。(舗装路なので塵が舞い上がることは無かったが)

やがて上の写真のように既に森林限界線を越えた道路を走るようになる。

森林限界線と言うのは植生上の特徴を表す言葉であり、これまで走行していたあたりはトドマツなどのマツ科針葉樹やシラカバのような広葉樹の高木が森林を構成していたのであるが、高度の上昇とともに高木類が生育しにくい環境となって森林が無くなる。 この植生上の限界を表す言葉である。

この限界線を越えると低木が疎らに分布する地帯から更に高度が上がると、やがてコケ植物や地衣類しか育たない地帯に至る。


ノルウェーは高緯度に位置するので日本の高山における植物の垂直分布を尺度にすることはできない。
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上の写真のように残雪の残る山々は岩ばかり。 窪みになった広い池のような湿地帯の氷は完全に溶けてはいず、若干の地衣類が見られた程度だが、この場所でも高度はせいぜい1000m前後である。

こうした地帯をしばらく走り続けた後、ダレスニッパ展望台(Dalsnibba)へ大型バスで路幅がいっぱいの未舗装でヘアピンカーブ続きの道を急勾配で登っていった。

ガードレールも無い岩山を切り崩して設営した道路は上りであっても恐ろしい。

以前にこのあたりを走ったのは6月の夏至前であったように思うが、この展望台への道は無かったように思う。

通常は残雪量や除雪の状況から6月に入って開通、走行許可が出るらしいが、今年は5月30日の本日走行可となっていた。

山の天気は娘心同様に変わりやすいもの。

ノロノロ運転のキャンピング・カーにイライラしていたのは、私が初めて訪れるダレスニッパ展望台は、そこからの眺望が命。 天候が崩れれば価値なし。しかも夏の一時期だけ通行が許可される所だからだ。
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雪山に夏服の普段着。 しかも通常の革靴。 こんなことはしないのだが旅行中でありバスで登ることが出来るからのこと。

ともあれ絶好の天候に恵まれた。

ドライバーのステインも珍しいことだと言う。
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ステインの薦めもあり、バスの冷蔵庫のビールでスコール。

天候に恵まれ最高の眺望を満喫したこと。 それをさせてもらえた健康に感謝。 勿論、ステインにも君の安全運転のお陰だと感謝の言葉を伝えておいた。

ちなみに缶ビールは『GULD』。スウェーデンのビールらしい。『GULD』は英語で『GOLD』にあたる。

将に『金』の価値を得たわけだ。
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上の写真中央、山が切れ込んだあたりの紺色の部分がゲイランゲル・フィヨルド(Geiranger Fjord)の最奥部にあたり、今夜のホテルのある場所である。

フィヨルドは海水が入ってきた奥深い入り江であるから、フィヨルドの水面は海抜ゼロメートルであり、海抜1500mのダレスニッパ展望台からクネクネと曲がる道を1500m下ることになる。
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ダレスニッパ展望台から下る途中、ユーヴェ展望台からゲイランゲル・フィヨルドを眺めた写真が上である。

写真では白くたなびく靄のようなものが写っている。これは翌朝に分かったのだがゲイランゲル・フィヨルドの観光船が吐き出す煙が漂っているのである。

漂っている煙が一定の高さと場所をほとんど変えていないのは山間のあの場所辺りの空気移動がない。 つまり気温変化がほとんど無いために風が吹いていないということ。 それと、一般的に(山間地は異なるが)空気の対流現象は500~600m程度の高さまでで起きるとされているので、煙の辺りの高度が園程度の高さになるのだろうか。

つまり、ダレスニッパ展望台が1500mであったから、このユーヴェ展望台の高度は7~800mの高さなのかと想像。 実際の高度は聞いていないので分からない。



at 16:06│
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