January 27, 2011

ポルトガル・スペインを巡る 【20】 リスボン

ベレン地区は、晴れていればテージョ川に沿って広がる公園から対岸のアルマダ地区を眺めることのできる絶好の場所であるが、大西洋からの暴風と雨を遮るものは何も無く、たちまち全身濡れ鼠状態。

吹き飛ばされぬよう前傾姿勢で向かったのがベレンの塔(Torre de Belém)。
ベレンの塔(2)234
ベレンの塔はテージョ川の河口部にあたり船舶の監視を目的にした要塞でジェロニモス修道院などと同じく16世紀に建てられた。

この塔もヴァスコ・ダ・ガマの偉業を称えて建てられたものらしいが、塔内部にはテージョ川に入ってくる不審船に対する攻撃用大砲も備えられている。

写真では分かりにくいが、外部の飾りは船のロープや貝をモチーフにしたようなもので装飾されており、ジェロニモス修道院と同様マヌエル様式であると言われている。
雅宏撮影スペイン(2)237ともあれ大航海時代の船はこの辺りから出航していたらしい。

左はテージョ河畔に建てられている発見のモニュメント。

1960年にエンリケ航海王子没後500年を記念して建てられたものだが、大航海時代にカラベル船が帆を上げて出航していこうとする様をよく表している作品だと思う。

舳先にはエンリケ航海王子の像。
左右の舷側甲板上には当時活躍した人たちの像が居並ぶが、西側になる次の写真にはジェロニモス修道院に石棺が安置されている詩人、ルイス・ヴァス・デ・カモンイスやエンリケ航海王子の母親の像も刻まれている。

発見(東)(2)240
下の写真は東側舷側であるが、右端より2番目は日本へキリスト教の布教にやってきたフランシスコ・ザビエル(Francisco de Xavier)の姿も見える。
ザビエルはスペイン出身なのに何故と思ったのだが、ポルトガル王ジョアン3世の依頼を受け、イエズス会創設メンバーの一人であるザビエルがポルトガルの植民地であったインドのゴアへ布教に出かけたのである。

彼がリスボンを旅立ったのが1541年。 アフリカ南端を回ってインドへ。 その後各地で布教を行って1549年に鹿児島にやってきた。
発見(東)(2)242
先頭(左端)のエンリケ航海王子に続いてアフォンソ5世、次いでヴァスコ・ダ・ガマの像。 写真では分かりにくいが騎士をおいてブラジルを発見したペドロ・アルヴァレス・カブラル(Pedro Álvares Cabral)と、その次に世界一周を為し遂げたフェルディナンド・マゼラン(Ferdinand Magellan)も並んでいる。
雅宏撮影スペイン(2)185
さて、夜になって少し小降りになったもののリベルダーデ大通の灯は朧である。

リベルダーデ大通は前ページに書いたレスタウラドーレス広場からポンバル広場に至る緑地帯を挟んだ道路である。

写真はポンバル侯爵広場(Praça Marquês de Pombal)で大きいロータリー交差点になっており、地下道との立体交差点でもある。

ポンバル侯爵はポンバルに領地を持つ侯爵ということだが、本名はセバスティアン・ジョゼ・デ・カルヴァーリョ・イ・メロ(Sebastião José de Carvalho e Melo)と長い。 写真の台座上部に彼の銅像が飾られている。

ポンバル侯爵はポルトガル王ジョゼ1世(José I)の信任を得て、ほぼ独裁的にポルトガル及び植民地の政治を行ったため功罪半ばするものがある。

ファド・レストラン(2)193その彼を説明するには複雑で長くなるため省くことにするが、1755年のリスボン大地震で壊滅的打撃を受けたリスボンの復興における彼の手腕は高く評価できることだけは記しておこう。

ポルトガルと言えばファド(Fado)が民族音楽として知られている。

ポルトガル語で歌われるので歌詞の意味は全く分からないが、クラシックギターとギターラと呼ばれるポルトガルギター(写真手前)の伴奏によって歌われる歌は哀調を帯びたものであったり、明るいリズム感のあるものだったり、何となく歌手の気持ちが通じてくるように思えた。
ファド2(2)192
上の写真の立派な体をしたオバチャン歌手はフェルナンダ・サントス(Fernanda Santos)。 年齢は・・・多分、が秘密にしておこう。 

若い女性歌手やフレデリコ・ヴィナグレという男性歌手の歌も聞かせてもらったし、民族舞踊も見せてもらった。

私たちが訪れたのは地下鉄ロシオ駅に近いバイロ・アルト地区のファド・レストラン。 このあたりにはファドを楽しみながら食事のできる店が多い。

ロシオ駅の直ぐ近くには今回訪れなかったがサン・ロッケ教会(Igreja de São Roque)もある。

この教会は九州のキリシタン大名、大友宗麟、有馬晴信、大村純忠らが派遣した天正遣欧少年使節の面々が1584年に訪れている。



masatukamoto at 18:26│Comments(0)TrackBack(0)

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