May 25, 2012

韓国・慶州へのワンデー・トリップ (つづきの続き)

慶州で確実にタクシーに乗れるのは高速バスターミナルや市外バスターミナル、或いは韓国鉄道の慶州駅である。 勿論流しのタクシーをつかまえることはできるが、観光スポットと呼ばれる所で空車を見付けるのは難しい。  観光スポットへ来るタクシーは帰りも同じ客を乗せる、予約の客待ち状態にあるのが通常なのだ。

天馬塚のある大陵苑だとか國立博物館のように慶州を訪れる観光客が100%立ち寄る所では空車が出ることもあるが、これはなかなか難しい。 インフォメーションのある所ではタクシーを呼んでもらうことが出来るが、前回訪れた時に私は随分時間のロスをしてしまったので、今回は慶州駅をスタート地点として武烈王陵⇒金庾信将pict-P1050069軍墓⇒芬皇寺⇒國立博物館⇒高速バスターミナルのコースでタクシーを1台借り上げてしまった。

芬皇寺(ブンファンサ)は新羅第27代王・善徳(ソンドク)女王が634年に建立した寺である。

写真は芬皇寺の三層の石塔。  芬皇寺が建てられた当初は写真の石塔も三層ではなく七層か九層の石塔であったらしいが、1238年モンゴル帝国の侵攻で破壊された善徳女王建立の皇龍寺の70mもの高さがあったと推pict-P1050053A定されている九層木塔と同様に破壊されたのかもしれない。

慶州では石を素材とした石塔、石仏などをよく目にするが、芬皇寺の三層の石塔もそれらのひとつであり、写真で分かるだろうか、安山岩を板状に加工したものを積み上げて造られているが新羅初期の石塔の特徴だということである。
pict-P1050050石塔の第一層の四面にはそれぞれに龕室(がんしつ)があり、花崗岩を彫った仁王像と石扉で守られている。

1915年に朝鮮総督府が解体修理を施して三層の塔を再建したが、その折に二層と三層の塔身の間から花崗岩で作られた石函が発見された。 縦横63cmの石函の内部を削り、その中には舎利盒の他、金銀の針やハサミ、玉、貝など様々なものが発見されている。  ≪参考 ・ 國立慶州博物館及びカタログより≫ 
pict-P1050051
この三層の石塔、つまり石造の卒塔婆が建っている基壇の四方には石造の獅子が塔を守るように建てられている。 龕室入口の仁王像もそうだが、獅子像も千数百年の時を経て創建当初の完全な姿形で残っているわけではないが、それなりに当時を彷彿とさせる雰囲気を醸し出している。 

善徳女王は三国統一のための礎を築いた人でもあるが、仏教の保護にも熱心だったようで、芬皇寺のほか、先に書いた皇龍寺の九層の木塔や霊廟寺なども建てている。
pict-P1050059芬皇寺創建当初よりある井戸で護国龍変魚井と呼ばれている。 井戸の中に龍が棲んでいるという伝説もあるが、花崗岩の外側を八角形に削り、内側を円形に彫ることによって仏教の八正道と結びつける説明の方が真実味があるように思うのだが・・・
 
芬皇寺には180トンもの重さの薬師如来仏像が安置され、慈蔵(ジャジャン)が中国から持ち帰った仏舎利や大蔵経の一部も納めてあったらしいが今は無い。 モンゴル帝国の侵攻で廃寺になっただけでなく、豊臣秀吉の朝鮮侵略、李氏朝鮮時代は儒教が国教であったため仏教弾圧が強く寺の復興にpict-P1050062は随分の時間がかかったらしい。

写真は現在普光殿に安置されている薬師如来像で1774年に造られたもの。

慈蔵という僧は636年に唐へ行き、仏法を学んで帰国して芬皇寺に住まいし新羅の戒律宗を開いた人であり、皇龍寺の九層の木塔を建てるよう善徳女王に進言した人でもある。 当時は慈蔵のほか芬皇寺に留まり華厳経などの仏典解釈を書いた元暁(ウォンヒョ)や、日本でも華厳宗の祖師として名高い義湘(ウィサン)らが活躍している。

釜山や慶州に近いところにある寺としては、善徳女王の647年に慈蔵によって建てられた通度寺(トンドサ)や、文武王の頃に義湘によって建てられた梵魚寺(ポモサ)が有名である。 また元暁の弟子である審祥(シムサン)pict-P1050072が華厳経を日本に伝えたことでも有名である。 ※ 審祥については新羅人か日本人かはっきりしないが、大安寺(奈良)に長く住んでいた。

鐘閣より三層石塔を見た写真。
pict-P1050071A
韓国の梵鐘の特徴を表すものとして、鐘の上端部分で鐘を吊り下げる輪の部分が一匹の龍になっている点がひとつ。 これが中国の梵鐘の場合は2匹の龍で形作られているものが多い。

この写真では見えにくいが、龍の角の後ろあたり、ちょうど梵鐘の真ん中に音筒という突起が出ているのだが、これが微妙に鐘の振動に影響を与えるようで、これが2点目。

鐘の上部に乳廓と呼ぶ蓮華文などで四角く囲われた個所があり、そこに蓮華のつぼみ状の乳頭が9個ずつ配されている。 そうした乳廓が4つで合計36個の乳頭があると、これが3点目。

4点目は鐘を突く位置に蓮華文と鐘の胴周りに飛天像が入っている点。

國立慶州博物館のカタログでは韓国の梵鐘の特徴として以上のようなことを挙げており、「鐘の美しい曲線と人の心に響く鐘の音は中国や日本の鐘を圧倒している」と書いている。 が、ちょっと引っ掛かるのだ。 鐘の鋳造について形が異なることや文様の異なり、或いは鐘の音色の異なりを挙げるのは分かるのだが、鐘の音が『中国や日本の鐘を圧倒している』と書いているのには、ああ又か、と少々白けウンザリする思いである。

心に響くなどと個々の感性を取り上げ、我が一番などという意味合いにとらえられる表現を国の機関が公刊するカタログに記載するなど私の感覚では有り得ないことなのだが・・・・・

まあ、それはそれとして國立慶州博物館のことを少し紹介しよう。


masatukamoto at 17:21│Comments(0)TrackBack(0)

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