May 27, 2012

釜山から対馬へ BEETLE『対馬・釜山航路』

韓国では旧暦も使うので、新暦の1月1日と旧暦の元日(今年は1月23日)の前後3日間、つまり今年は1月22日から24日が旧正月であった。

韓国では旧正月をソルラルと言い、全国一斉に正月を祝う。 ソウル、大田、大邱、釜山などの都会で働いている人たちは一斉に故郷へ帰り、街中の商店もほとんどが店を閉めてしまうのである。

何年前だったか韓国のソルラルを見てみたいと釜山を訪れたが、真昼間だと言うのに走る車が少なく道路はがら空きで普段の渋滞はウソのようであったし、商店はシャッターを下ろして人通りもなく、大都市・釜山が死んでしまったかと街中を歩いていて気持ちが悪いくらいであった。 この時は幸いと言うべきか風邪をひいて西面のロッテ・ホテルで寝込んでいたため商店の休業で影響を受けることはなかった。 もっとも薬局も閉まっていたため、ホテルの向かいには何軒も薬局があるのだが薬を買えず、これには困ってしまった。

ともあれ今日は22日、例年なら故郷へ帰る人たちの大移動の日だが21日が土曜日だったので移動が分散したかもしれない。

写真はホテル・フェニックスの朝食(韓定食)。 ミール・チケットに差額を支払わねばならないが、どんなものを提pict-釜山・朝食供するのか注文してみた。
辛くないトゥブチゲ、うーん、ただの豆腐の味噌汁と言うべきかな。汁ものとしてワカメ汁もある。根菜の煮物、キノコの和え物、韓国のり、小海老の天ぷら風揚げ物、モヤシのナムル、白菜キムチ、開いた海老の天ぷら、イシモチの煮付け、目玉焼き、牛カルビの煮込み(カルビチム)、それにご飯である。 感想を書けば・・・特には無いが、ご飯、味噌汁、だし巻ではないが目玉焼きが付いていたので、まあ良しと言ったところかな。

ホテルをチェックアウトして南浦洞の町を歩いてみたがロッテ・スーパーやコンビニ、それにチャガルチ市場の魚屋も店を開けている所が何軒かあったし、歩いている人たちの数も少なくは無かった。 何年か前の南浦洞や西面の町とは明らかに雰囲気が変わっていた。 ソルラルの過ごし方も時代とともに少しずつ変化してきているのかもしれないと感じた。

今回の韓国行きの目的のひとつだが、昨年10月に韓国・釜山と長崎県・対馬(比田勝港)を結ぶ『対馬・釜山航路』のビートルに乗船するということがあった。 飛行機に乗るのが余り好きではない私にとって、福岡(博多)・釜山間を3時間で結ぶビートルは韓国への足として最良の交通機関であり、これまで飛行機以上に利用してきた。

今回の韓国行を思い立った時点では、福岡(博多)・釜山、そして釜山からの帰路に対馬で途中下車ならぬ途中下船して福岡(博多)に帰るという往復チケットを購入するつもりでいたのだが、『対馬・釜山航路』は『福岡(博多)・釜山航路』とは別の単独航路であることが分かった。 それで今回は福岡(博多)・釜山の片道、そして釜山・対馬(比田勝港)の片道をビートルに乗船し、対馬を観光して対馬(厳原港)からは九州郵船のジェットフォイルで福岡(博多)に帰ることにしたのである。

対馬行きのビートルの発船は12時だから11時には釜山国際旅客ターミナルへ行かねばならない。 が、実際には10時過ぎに到着してしまった。 1階に釜山銀行があるので窓口で韓国通貨を日本通貨に両替をし、午後便なら3階の伽耶会館で焼肉とビールで時間を過ごしたのだが、今朝はご飯を食べて時間が経っていない、本でもあればと思うがハングル文字ばかりでは、と、2階の椅子に腰かけてぼんやりと時を過ごしていた。

私がターミナル・ビルに入った時から2階フロアの各所に韓国人の団体旅行客がグループで集まっていたのだが、10時半になって20人ぐらいの韓国人グループが数組、添乗員に連れられて2階フロアへやってきた。 たちpict-P1050090Aまち私の周りに彼らと彼らのラッゲージが置かれ、私は彼らの中に埋没してしまった。

釜山国際旅客ターミナルを出港する船はカメリア、これは夜になってからで、ビートル或いはコピー(韓国)がほぼ1時間おきに出航する。 この大人数がビートルで同じ船だと窮屈だなあと思いつつ発券時刻を待った。
発券窓口のお嬢さんは韓国人のようであった。 なまりの強い日本語ではあるが、会話するのに支障はない。 「〇〇さんは65歳以上ですから1割引きになります。」だと。 僅かな金額であっても割引と言われると何だかものすごく得をしたような気分になるもので嬉しかった。

乗船券を手にしたので出国ブースへ。 手荷物等の検査を受け、旅券に出国の印を押してもらえば後は乗船をpict-P1050091A待つだけ。 空港ほど広くも大きくもないがデューティフリーの店もある。 韓国内ロッテ・デパートなどで買った品物を受け取るカウンターもあるし、喫煙ルームもある。

ところが出国の待合ロビーにいた韓国人グループもその他誰ひとりとして出国ゲートを出てくる人がいないのだ。 これにはちょっと拍子抜け。

ビートルのチェックインを担当するお嬢さんにお願いして写真を撮らせてもらった。 背の高いベッピンさんでチマ&チョゴリがよく似合っている。

彼女たちに他の乗船客のことを尋ねると、9時だか10時だかの便で出発し、12時出航のビートルの客は私一人なのだと。

何と、一瞬驚き喜んだもののJR九州高速船の経営は大丈夫なんかいなあと他人事ながら少々心配になってしまった。

そこへビートルのスタッフが一人やってきて私のラッゲージを運びましょうと船までpict-P1050099A持ってくれた。 ビートルは何度も利用しているが荷物を運んでもらうのは初めてであった。 スタッフと言っても50過ぎの小柄な男性なので、こちらの方が気を遣う有様で申し訳なく有難い思いであった。 深謝

ところで天候だが、韓国を去るようになって写真の通り上天気。 韓国滞在中はずっと雪か雨かばかりだった。 しかし、このお天気である。 釜山・対馬(厳原港)間わずか1時間(1時間10分)航程であるが穏やかな航海となった。

対馬の北端を眺めながらビートルは南下し、やがて比田勝港の沖合から進路を西へ取り比田勝の入江に入っていく。 下の写真に今夜の宿である花海荘(かみそう)の建物が右手の丘の上に見える。
pict-P1050107A
それにしてもビートルの1階2階席合わせて200人の定員だが、そこへ私一人。 船長その他スタッフが6人はいるだろうが、誰が何人乗船しようとスタッフの人数は変わらないであろう。 総理大臣が乗船するとなれば、官房長官、秘書官、護衛官に当該管区警察からの応援警備が入って数十人規模になるだろうから、将に大臣待遇以上であったと言える。 ぶっははははは

下はビートルが比田勝港に向かう途中の写真。 船の右手に花海荘が見える。
pict-P1050108A
ビートルが比田勝港に着岸すると荷物を持って入国審査を受けることになる。 小さな港だから入国審査から税関まで全てが小振りではあるが、税関では4人だか5人だかの担当官が出て来ていた。 しかし検査対象は私一人である。 若い担当官2人が検査台上のラッゲージと土産の韓国海苔の大きい段ボール函を見ながら質問しpict-P1050148比田勝港ターミナルてくる。 実務研修に派遣されているのか、彼らを見ていると熱心に質問してくる学生のように可愛く思え、ラッゲージの中を見せてくれますかと言われた時も、「ハイハイ、どうぞどうぞ。」と、とても気分良く開いて見せた。

こう言うのも何だが、端から気分が悪いと言うか生理的に我慢出来ん奴というのが男であれ女であれいるものなのだ。 税関職員は『お上の御用』をしているのだと言わんばかりの横柄な態度に物言いをする奴が。

密輸をするなど確かに悪い連中もいるのだろう。 しかし、圧倒的多数は善良な国民であることを念頭に職務に専念してもらわないことには端から性悪説の立場で帰国してくる人を見てもらっては困る。 決して卑屈になる必要はない。 が、公務を遂行する立場の者と公務遂行に協力する立場の者が互いに気持ち良く接っするための努力は税関職員も積むことが大切だと帰国時に思うことがよくあった。

さて、公務と言えば税関の出口の所まで来ていた長崎県警の若い私服警官が一人いた。 比田勝にいて普段も私服で従事し、船が入港するとやってくるのだとか。 若い人は都会に憧れて中央へ出たがるものだが、地元の長崎で就職し、対馬で職務に励んでいるという。 両親も嬉しく誇りに思っているだろう。
pict-合成対馬・花海荘
対馬は南北に長く結構面積も広い。 しかし観光するとなるとバス便が悪く動きまわるのに便利なように港から少し歩いた所にある対馬レンタカーで車を借りることにしておいた。 車は軽自動車だが私一人が乗るだけだし、島のことゆえ道幅も広くはないだろうからと決めておいたのだ。

それで、車を借りて先ず宿にチェックインし、荷物を部屋に置くため宿に向かった。 上の写真は部屋からの景色である。 写真を合成したので水平線と下部が歪(いびつ)になっているが、島の形や海の水の色は写真の通りに綺麗な眺めであった。 
pict-P1050151ビートル出航・比田勝港
荷物を置いて港へ戻ってきたら私が乗ってきたビートルが釜山港へ戻っていくところであった。 客はゼロのように見え、ちょっと侘しい気持ちで出航するのを見送っていたら、先ほどの私服警官に又会ってしまった。

船が出入りするたびに来るのだと彼は言っていた。 ここは国境の島なのである。 しかも比田勝港は小さいとは言え隣国・韓国に最も近い国際港であり、その距離わずか49.5km、ジェットフォイル船で1時間で行けるのである。 彼は長崎県警の警察官であると言っていたから多分警備で外事か公安に所属しているのだろう。
pict-対馬・殿崎海岸
写真は殿崎(右)と舌崎(左)に囲われた三宇田海水浴場(左端)である。 海の色が美しい。

この美しい対馬の国境がフェンスで囲われているわけではない。 対馬は東西18km南北82km、大きくは上と下の二つの島から成り立っていると言って良い。 その何処からでも侵入する気になれば入り込む場所は幾つでもあると実際に対馬を車で走ってみて思った。

この対馬の海域では密漁、密輸、密航が多いという。 最前線で体を張ってるのは海上保安庁、入国管理局(入管)、長崎県警の人たちであり、彼も比田勝港やその他の場所で公務に精を出しているのだと思う。 地味な仕事かもしれないが今後も頑張ってもらいたいと切に願う。  


masatukamoto at 15:31│Comments(0)TrackBack(0)

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