July 23, 2012

『酒肆 野一色』 博多・春吉 (2)

赤司淳一氏が彼の店『酒肆 野一色』で目指す「くつろげる空間」と「心に届く料理」については概ね満足できたと前ページで書いた。 同時に「寛ぐ」のも「心に届いた」と感じるのも客であり、客の感じ方によって変わるものだけに難しい目標であるとも書いた。

博多での私の行動は早朝の散歩と朝食、それに喫茶『LANVIN(ランバン)』でコーヒーを楽しむこと以外に決まったものは無い。 その後は福岡県内各地や日帰り可能な隣県各地を訪れ夕刻には博多へ戻り、友人・知人の店で飲食を楽しむのである。 だから、時には歩き疲れ、時には飲み疲れの状態で店を訪れることもある。

4月末の或る日、『酒肆 野一色』を訪れた折は疲れがたまり前日のお酒が抜けきっていない最悪の体調であっpict-P1050502枝豆の葛豆腐た。

淳ちゃんに「胃の調子が悪いから何か優しいものを食べさせて欲しい」と言って出されたものが写真の料理。

胡麻豆腐であったと思うが、葛粉で練られた食感と、かけられたダシ汁の調和がみpict-P1050503玉子入り雑炊ごとであった。
しかし、朝に味噌汁を飲んでから食べ物を口にしていなかった私にはコレだけでは不足。 もう少し何か食べたいと言って出されたものが鰹だしの玉子雑炊。

これは美味しかった。 
pict-P1050495煮穴子の葉山葵添え胃痛やムカムカ感も治まり・・・・・と、なると、やはり少し飲むかってことに。

この日は30cm程度かな? 頃合いの大きさの煮穴子に茎(葉)山葵を添えたものを肴にほんの少しだけお酒を頂いた。

京都着倒れ、大阪食い倒れ、博多履き倒れなどと言われてきたが、今や博多は大阪の食い倒れや江戸の飲pict-P1050497刺身5点盛りみ倒れに取って代わるだけの道楽を楽しめる地になったのではないだろうか。 愚息などは「博多を楽しむなら健啖家でないとあかん」と言うが、私もその通りだと思う。

その健啖家でも、ややひ弱な仲間に入れてもらっている私だが、博多滞在期間を決めているので2夜、3夜と連続して一軒の店を訪れることが多い。 と言っても一晩にpict-P1050504蒸しアワビと白子の煮付菜の花添え一軒で済むはずもないので、2~3軒かな?
つまり3軒訪れるとしたら、飲食の量が一軒あたり三分の一ずつということになる。

『酒肆 野一色』でも開店時刻に入って幾つかの料理と少しの酒を頂いたら他の店に移動するのである。

4月に『酒肆 野一色』を訪れた時の料理を三品紹pict-P1050505伝助穴子と若筍の焼き物コーン添え介しておこう。

上から旬の魚介のお刺身五点盛り合わせ。 グジの炙り、ヒラメ、マグロ中トロ、ゴンアジ、赤貝に菜の花添え。

五島列島の地アジや地サバをゴンアジとかゴンサバと呼ぶ。

中の鉢はアワビの柔らか煮と白子の生姜煮、それに菜の花と茗荷が添えられている。

四角い大皿は伝助穴子の焼き物に焼きタケノコ、それに蒸焼きコーンだったと。

伝助穴子は対馬で天ぷらとして食べた大アナゴのことである。 この大アナゴを好きだからとか珍しいからと食べるのは個々人の勝手。 しかし、私はあまり好きにはなれん。 先ずアナゴとは言えん大味であることと骨がイカン。

アナゴは瀬戸内の30~40cm前後のが、白焼きにしても煮ても焼いても天ぷらでもウマーイのだ。

大阪ミナミに『高砂』という穴子料理専門の店があるが、美味いのは美味い、が、値段がむむむむむむ。 余談デアル。

赤司淳一氏の料理の一部を紹介したが、私は彼の選んだ器や盛り付けに楽しみを感じている。 料理である以上味わいも紹介せねばならないが、残念ながら味だけは写真でというわけにいかない。 興味を感じられたら是非『酒肆 野一色』を訪れご自身の五感で彼が目指す「くつろげる空間」と「心に届く料理」を感じ味わって頂きたい。

『隠れ台所 久岡家』で磨いてきた調理実践に加え、アメリカでの料理提供経験などから広い感性を身に付けた淳ちゃんに更なる向上を期待したい。


masatukamoto at 07:09│Comments(0)TrackBack(0)

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
記事検索
月別アーカイブ